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因果応報思想、功徳(くどく)、出家と見てきましたね。それでは出家にいたる文脈を具体的に見ていきましょう。
〈出家譚(たん)〉 事件 1.「世の中(=男女の仲)」のもつれ。 2.主人、愛する者の死。 3.自分の死期をさとる。 ↓ ↓ 功徳を積む ↓ 出家
でしたね。2.3.の文脈に着目!
どうも「死」のにおいがプンプンただよっています。
そう、出家の文脈にかぎらず、「死」の話題は受験で頻出します。今も昔も「死」は人生最大の事件ですからね。
現代文だろうが古文だろうが、国語の問題を作るに当たり、何が一番難しいかというと、本文の切り取り方なんです。古文においては、ある程度短めの文章の中でクライマックスがはっきりしているものを出したい、そうすれば必然的に話題として「死」が頻出することになります。『源氏物語』しかり、『讃岐典侍日記』しかり、「死」にまつわる文脈は超頻出です。
上智大学、早稲田大学などの難関大受験者はくれぐれも注意が必要です。そこでおさえておきたいのが、「病気表現」と「臨終表現」です。
【「出家」にいたるドラマ展開】
〈病気表現〉
・心地(ここち)
…気分の悪いこと。病気。
・悩む
…病気で苦しむ。わずらう。
・あつし
…病気がちだ。病気が重い。
・おこたる
…病気がよくなる
・あつかふ
…看病する
「心地=心持ち」「悩む=困る」「おこたる=なまける」の意味はありますが、きいてもしょうがないでしょ?「あつかふ」は「世話をする、面倒を見る」意、上記の文脈だと「看病する」。
〈臨終表現〉
・失(う)す
…死ぬ。
・隠(かく)る
…死ぬ。亡くなる。
・露(つゆ)
…露のようにはかない命。露命(ろめい)。
「隠る」は貴人の死に用いられます。
とにかく要注意は「露=露命」です。
「露」の季節は秋、葉っぱの上にコロリと水玉が乗っている。「たま=真珠=美しいもの」の比喩、「涙」(つまり、悲しみ)の比喩、と和歌では大活躍する素材ですが、特にも「露のようにはかない命」の比喩で用いられていたら必ず設問になります。上智大学でよく出していますね。「露=露命」は要注意、と肝に銘じましょう。早稲田大学、上智大学、ともに出る可能性、絶大なり。『源氏物語』の紫の上の最期(さいご)でも「露」の比喩が使われています。美しい女性は「死」も美しいのですね。
「人は四苦八苦してこの世を生きてゆく」
「四苦」=生(しょう)・老(ろう)・病(びょう)・死(し)
→→→古文 読解 仏教思想1 (因果応報・三世)
その「病」「死」が「出家」の要因となっていく、だから人生の一大事「出家」を決意する経緯を語る文脈で「病」「死」が展開していきます。
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