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中級編

古文 文法19 格助詞「の」 接続助詞「ば」「ど・ども」「とも」

 

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助動詞の山を越えて助詞に入っていきます。助詞はコマコマやっているときりがない。学校の授業で全文品詞分解とか、させられている受験生もいるのでしょうか?それと同じやり方で受験勉強をやろうとすると演習量をかせげない。だから、文字どおりの「いい加減」でやること。助詞は優先順位をつけてやれば、あっという間に仕上がります。★マークのナビに従って、優先順位をつけてやって下さい。

格助詞については、とにかく同格「の」をおさえてしまう。それでおしまいです。

 

★★★【同格の格助詞「の」】

~名詞+の+~連体形、~=同格「で」

連体形の下に「の」の直前の名詞を補うと、「~名詞=~連体形(名詞)」と、前後が同じ名詞を表現します。主格や目的格など、下の文脈に前後の名詞が同じ格となって続いていくので同格といいます。「の」は「で」と訳します。

・白き鳥嘴(はし)と脚と赤き、~遊びつつ魚(いを)を食ふ。
(白い鳥くちばしと脚とが赤い鳥が、遊びながら魚を食べている。)

形容詞「赤し」本活用連体形「赤き」の下に「の」の直前の名詞「鳥」を補うと「白き鳥=嘴と脚と赤き(鳥)」と前後は同じ「鳥」を表現します。下の文脈に同じ主格となって続いていくでしょ?
「白い鳥遊びながら魚を食べている」
「くちばしと脚とが赤い鳥遊びながら魚を食べている」
だから「同格」です。

その他の用法も見ておきましょうか。

・私名前。あなた本。
いわゆる普通の「の」、訳して「の」と訳せるものは連体格(連体修飾格)。

・これ誰(もの)?それ私(もの)。
「~の名詞」と訳せる、何か名詞が省略されているものは隼体格。体言に準じた使い方をしているんですね。日常生活でよく使っています。

・バラくちびる。
訳して「~のような」と訳せるものは比喩です。やっぱり普通に使っています。

以上、問われるのは同格でしょうが、バツの選択肢にひっかからないために、その他おおぜいも一応見ておきました。
格助詞「が」は、「の」と同じと考えてください。「が」にも同格はありますが、おそらく同格「が」は出ないでしょう。きっと正解がもめることになりますから…。

 

【主な接続助詞】

前後の接続関係をあらわす助詞です。主なものは次のとおり。

・未然形+ば=順接仮定条件
 …もし~ならば、

・已然形+ば=順接確定条件(原因理由)
 …~ので、

・終止形(形容詞連用形)+とも=逆接仮定条件
 …たとえ~としても、

・已然形+ど・ども=逆接確定条件
 …~けれど、

どうでもよいとは思うのですが、文法用語の解説をしておきましょう。大事なわけではありません、悩むだけ時間のムダだからです。

「順接」の「順」は訓読みすれば「順(したが)う」、前の内容に「したがえ」ば、自然とのちの内容が導き出されるので「順接」です。
「逆接」は、前の内容と後の内容があいいれない、文字通り「逆」の関係になります。
「仮定」は、動作がまだおこなわれていない、「仮定」された状態にあります。
「確定」は、動作はもうおこなわれている、「確定」された状態にあります。

もし早く行ったならば、彼に会えるよ。…順接仮定条件
わざわざ早く行くのだから、会えて当然(順接)、「行く」動作はまだおこなわれていません(仮定)。

・早く行ったので、彼に会えたよ。…順接確定条件
わざわざ早く行くのだから、会えて当然(順接)、「行く」動作はもうおこなわれています(確定)。

たとえ早く行ったとしても、彼には会えないよ。…逆接仮定条件
わざわざ早く行く、それなのに会えないのはおかしい、あいいれない関係(逆接)、「行く」動作はまだおこなわれていません(仮定)。

・早く行ったけれど、彼には会えなかったよ。…逆接確定条件
わざわざ早く行く、それなのに会えないのはおかしい、あいいれない関係(逆接)、「行く」動作はもうおこなわれています(確定)。

訳すことができればそれでよいのですが、あまりに生徒に質問されるところなので解説しました。「こんな感じ」というのがわかればそれでいいと思います。
ちなみに、評論文において、「逆接」は最重要ですので、「~としても」が逆接なのは、おさえましょう。

 

【「未然形+ば」以外の仮定条件】

仮定条件をまとめておきましょう。仮定条件は反実仮想「まし」や最小限の条件「だに」など、いろいろ重要な構文にからみますから、どんな形でも仮定条件(~ならば)を取れるようにしておかなくてはいけません。
また、形容詞、「ず」などの仮定条件は、びっくりするぐらい単独で問題になっています。五者択一、仮定条件を訳しているのは二つ、あとは文脈から正解肢を選ぶというパターンです。なのに、それに気づいていない受験生がほとんどじゃないでしょうか。選択肢を消す「小ネタ」として使えるようにしておきましょう。

 

★★★〈仮定条件〉

1.活用語の未然形+ば(接続助詞)

2.形容詞、形容詞型活用助動詞の本活用連用形
 (無く・べく・まじく・まほしく・たく)+は(係助詞)

3.打消の助動詞連用形「ず」+は(係助詞)
  

   =仮定条件(~ならば・~としたら)

 

形容詞、形容詞型活用の本活用未然形、「無く」「べく」「まじく」「まほしく」「たく」、打消「ず」の未然形「ず」を認めるか認めないか(活用表の未然形のカッコ付き)というのは、この仮定条件の説明の仕方によります。
・未然形+「は(接続助詞「ば」のにごらないかたち)」=仮定条件
と説明している辞書、参考書もあります。私は
・連用形+は(係助詞)
で説明していきますが、みなさんが悩む必要はありませんよ。とにかく仮定条件が訳せればそれでよいです。

・狂人のまねとて大路を走らば、すなはち狂人なり。
(狂人の真似だといって大通りを走ったならば、とりもなおさず狂人である)
「未然形+ば(接続助詞)」と、スタンダードな仮定条件。

・鴬(うぐいす)の谷より出づる声なくは春来ることを誰か知らまし
(うぐいすが谷から出てきて鳴く声がなかったら、春がくることを誰がわかるだろうか、いや誰もわからないだろうに)
形容詞「無し」本活用連用形「無く」+「は(係助詞)」で仮定条件。何だろうが仮定条件をともなった「まし」は反実仮想でしたね。反実仮想が、さらに反語になっているのでちょっとややこしい。

・ゆく蛍(ほたる)雲の上まで往ぬべくは秋風吹くと雁(かり)に告げこせ
(行く蛍よ、雲の上まで飛んで行くことができるなら、こちらでは秋風が吹いていると雁に告げてくれ。)
形容詞型活用の助動詞「べし」本活用連用形「べく」+「は(係助詞)」で仮定条件。「べし」は、ここでは可能。「こせ」は上代の他に対する希望(~してほしい)の表現。

・屋島へ帰りたくは、三種の神器(じんぎ)を都へ返し入れ奉れ。
(屋島へ帰りたいなら、三種の神器を都へお返し申しあげろ。)
形容詞型活用の助動詞「たし」本活用連用形「たく」+「は(係助詞)」で仮定条件。

・かやすき程こそ、すかまほしくは、いとよくすきぬべき世に侍りけれ。
(気軽な身分の者は、浮気がしたいなら、いくらでも浮気ができるにちがいない世なのでございました。)
形容詞型活用の助動詞「まほし」本活用連用形「まほしく」+「は(係助詞)」で仮定条件。

・女あるじにかはらけ取らせよ。さらずは飲まじ。
(女主人に杯を与えて酒を飲ませなさい。そうでなかったら私も飲むまい。)
助動詞「ず」連用形「ず」+「は(係助詞)」で仮定条件。

以上、特に「無くは」「べくは」「ずは」は、選択肢を消す小ネタで活躍します。

 

 


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