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古文のツボ

中級編

古文 文法20 副助詞「だに」「すら」「さへ」(類推・添加など)

 

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副助詞「だに」「すら」「さえ」は全文法の中の最重要事項です。よく出るし、出れば配点が高い。また、漢文の抑揚形が「だに」「すら」と、累加形が「さへ」と、全く同じ働きをするのですが、これがまたよく出るし、出れば配点が高い。反語と並ぶ強調表現なので、評論文、小論文への応用と、まさに「使える文法」です。だから、ただ意味だけおさえてもしょうがない、構文の機能そのものをおさえてください。また、難関大であればその機能、働きそのものが問われます。文法の最後のヤマ場を越えていきます。

 

★★★★★【副助詞「だに」「すら」…類推】

 

〈類推の構文〉

A<程度の軽いもの>だに(すら)B、

ましてC<程度の重いもの>~。

 =A<程度の軽いもの>でさえBなのだから、
  ましてやC<程度の重いもの>はなおさらだ。

「まして」以下はよく省略されます。省略されても「程度の重いもの」を自然に類推させるので「類推」です。

例えば高校野球、ノーアウト満塁、絶好のチャンスで4番バッターが三球三振してベンチに帰ってくる。監督はもうカンカンです。
「あんな球、小学生でも打ち返せるぞ!」
これが「類推(抑揚)構文」なのがわかりますか。
「打ち返す」程度で言えば、「高校球児の4番バッター」は程度が重い(打ち返して当然)、「小学生」は程度が軽い(打ち返すのが難しい)。
「(程度が軽い)小学生でも打ち返せるぞ!ましてや(程度が重い)高校生の4番バッターなら打ち返すのは当然だ!」
と、程度の重いものを、コトバに出さなくても自然に類推させるのがわかりますか?
強調表現なので、反語と同じく、このように説教したり、叱ったりするときによく使われます。

類推の構文をとるときは、「だに(すら)」の下の「B」という点でA「程度の軽いもの」はなんなのか、C「程度の重いもの」はなんなのか、確認するのがミソです。
類推の副助詞は
「すら」(上代)→「だに」(平安)→「さへ」(中世)
と時代によって使われる副助詞が変わっていきます。だからメンドクサイ。現在、われわれが古文の類推表現や漢文の抑揚表現を「~さえ」と訳しているのは中世のなごりなのです。

出題パターンは、
1.単純な口語訳。
2.「だに」とあって、「まして」虫食い、あるいはその反対、「まして」があって「だに」虫食い。
3.「まして」以下の省略、その類推内容を答えさせる。

と、多様に問題を作れます。だから、出るんですね。
特にも、類推というのは一種の強調表現ですから、文脈のクライマックス、本文のおしまいの方、いちばんオイシイところで用いられます。出題者としては、どうしても問題にしたいところなのです。特にも上記の「3」は配点が高くなります。国立二次「省略されている内容を補って口語訳せよ。」とか出します。点差を広げる絶好のチャンス!

・いづれの人と名をだに知らず。
(どこの人か名前さえ知らない。)

人物を知らないという点で「名」はまだ表面的で程度の軽いもの。人物を知らないという点で程度が重いのは性格や人柄でしょう。以下に程度の重いもの、
まして人柄を知らないのはなおさらだ
という内容が類推できます。

・聖(ひじり)などすら前(さき)の世のこと夢に見るはいと難(かた)かんなるを、
(聖などでさえ前世のことを夢に見るのはたいそう難しいそうだが、)

「聖」は、徳の高い僧侶です。さんざん仏道修行をした「聖」は仏道のプロ、いかにも前世の事を夢に見ることができそうな人ですね。
前世の事を夢に見るのが難しいという点に関しては、「聖」は程度が軽いもの(あまり難しくない人)といえますね。前世など夢に見ることができない点で程度が重いのは、修行などしていない一般の人間。以下に程度の重いもの、
まして普通の人が前世を夢に見るのが難しいのはなおさらだ
という内容が類推できます。

以上、「まして」以下の類推内容を答えさせる問題は、私立の難関大でもよく出します。30字程度の記述ですか。
いずれ高配点の問題になるので、必ずとれるよう訓練をつみましょう。普段、いろいろな文脈の中で、「だに(すら)」、あるいは漢文の抑揚構文「況ヤ~ヲヤ。」があったら、程度の軽いもの?重いもの?と確認するクセをつけましょう。
ちなみに、漢文でいえば、

 

〈抑揚形〉

B、

=Aスラ且(か)ツB、況(いはん)ヤCヲヤ。
(AでさえBなのだから、ましてCにおいてはなおさらだ。)

が同じ構文です。漢文では副助詞は「スラ」が使われます。「B」という点で程度の軽いのが「A」、程度の重いのが「C」、同じでしょ?程度の軽いものでいったん「抑(おさ)え」ておいて、程度の重いものを「揚(あ)げ」ていくから「抑揚」です。名前はちがっても構文の機能はまったく同じです。

類推の構文の機能は理解できましたか?それに比べると、「最小限の条件」は四つのパターンをおさえればおしまいです。仮定条件がこの最重要構文にもかかわっていることを確認!

 

★★★★★【副助詞「だに」…最小限の条件】

 

〈最小限の条件の構文〉

(最小限のもの)だに

 ~意志(せめて《最小限のもの》だけでも~しよう)
 ~希望(せめて《最小限のもの》だけでも~したい・してほしい)
 ~仮定条件(せめて《最小限のもの》だけでも~ならば)
 ~命令(せめて《最小限のもの》だけでも~しろ)
※「だに」の下にこれら「意志・希望・仮定条件・命令」といった表現がなかったら「類推」と考える。

・物をだにきこえ。御声だに給へ
せめてお話だけでも申しあげようせめてお声だけでもお出しください。)

「む」は意志、「給へ」は「給ふ」の命令形。

・今はとて忘るる草の種をだに人の心にまかせずもがな
せめて、もうこれまでと、私を忘れる草の種だけは、恋しいあの人の心にまかせたくないものだ。)
「もがな」は希望の終助詞。「蒔(ま)かせ」「任せ」の掛詞。

・この願ひだに成就しなば、悲しむべきにあらず。
せめてこの願いだけでも成就したなら、悲しむべきではない。)

完了の助動詞「ぬ」未然形「な」+「ば」=仮定条件。

仮定条件→→→文法19接続助詞「ば」

・散りぬとも香をだに残せ梅の花
(散ってしまうとしても、せめて香りだけでも残せ。梅の花よ。)

「残せ」は「残す」の命令形。

以上、機械的に訳せれば終了です。「意志」「希望」「仮定条件」「命令」をそれぞれきちんと取れるようにしておくことがポイントです。特にも「仮定条件」しっかり!です。

「だに」は類推「~さえ」と訳す、「すら」は類推「~さえ」と訳す、ってやっていると、つい同じノリで副助詞「さへ」を「~さえ」と訳したくなります。ひっかかりますよ。ココに古文のドツボがある。「さへ」は添加で「~までも」と訳すこと。「さへ=までも」と覚えましょう。

 

★★★★★【副助詞「さへ」…添加】

 

〈添加の構文〉

A~、Bさへ~=Aが~、Bまでも

前の内容「A」に対して、「Aばかりでなく、その上さらにBまでもが~」と、「A」の内容に「B」の内容を付け加える表現です。

A+B

の「+」の機能が、添えて加えて「添加」です。何に何を加えているのか、「A」と「B」の内容を確認するのがミソです。
ちなみに漢文でいえば、

 

〈累加形〉

不唯A、B~。
  =唯(た)ダニAノミナラズ、B~。
  (Aだけでなく、その上さらにBまでもが~。)

の累加形が、添加の「さへ」と同じ働きをします。
平安時代、「さへ」は添加でしか使われませんでした。「さへ」が類推で使われ出すのは中世からです。その名残りで、今、私たちは古文の類推「だに」「すら」や、漢文の抑揚「スラ」を「~さえ」と訳しているのです。メンドクサイ、な。
でも、受験生が読むのは、ほとんど平安の作品なのだから、ここは一つ腹をくくって「さへ=までも」と覚えてしまいましょう。「さへ」をつっこむなら、添加でしか問題にしないはずです。

・(桐壺帝)ただ涙にひちて明かし暮らさせ給へば、見奉る人さへつゆけき秋なり。
(桐壺帝は、ただ涙にぬれて夜を明かし日を暮らしなさるので、それを見申し上げる人までもが涙がちになる秋である。)

「桐壷帝(A)が泣いている」

(それだけでなく、その上さらに)+

「そのお姿を見申し上げる人(B)までもが泣いている」

と添加しているのがわかりますか?
以上。出題パターンとしては、

1.単純な口語訳。「さへ=までも」で選択肢を洗うと五者択一が二択になる、選択肢を消す「小ネタ」としてよく使えます。

2.「さへ」の虫食い問題。空欄の前後が添加の関係になっていることを読み取るのがポイントです。早稲田、上智などの難関私大。

3.「Bさへ」は何に対して言っているのか、Aの内容を答えさせる記述問題。国立二次ですか。

いずれ、副助詞「だに・すら・さへ」は機械的に訳を覚えてもしょうがないということを肝に銘じてください。構文の機能そのものがわかっていないと解けない問題が多いのです。しかも高配点の問題にからみます。
普段、演習する際にこれら「だに」「すら」「さへ」の表現は、文脈でどのように機能しているのか確認しながら読むのがポイントです。やっぱり「場数」の勝負になっていきますね。

 

 


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