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中級編

古文 文法14 推量の助動詞「む」「らむ」「けむ」

 

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助動詞「む」の意味はすでに見てきました。他の助動詞などとセットになっていろいろ重要な表現を作っていきます。ここでは、助動詞「む」「らむ」「けむ」はセットでおさえた方がわかりやすいので、あえてもう一度上げています。ただし、助動詞「らむ」は別格にムズカシイ。だから、文法初心者は「む」「らむ」「けむ」三つセットでおさえればよし、中級者は「む」の多様な表現しっかり、上級者は「らむ」をつめていく。文法最後の仕上げになります。

 

【助動詞「む」「らむ」「けむ」の違い】

活用は「む」とまったく同じ。「らむ」は「ら」をくっつけるだけ。「けむ」は「け」をくっつけるだけ。
意味は、基本的には時制が違うだけです。「む」は未来推量、一般的な推量、「らむ」は今現在の推量、「けむ」は過去の推量。

・む  …推量(~だろう)
・らむ …現在推量(今ごろ~しているだろう)
・けむ …過去推量(~しただろう)

です。簡単でしょ?
婉曲の用法も同じです。婉曲は断定を避けて遠まわしに言う表現ですが、訳さなければ訳さなくてもいい。どうでもいいと思います。

・む(連体形)+名詞…婉曲・仮定(~ような・~としたら、その名詞は~)
・らむ(連体形)+名詞…現在の婉曲・伝聞(~ているような・~ているという)
・けむ(連体形)+名詞…過去の婉曲・伝聞(~たという)

名詞はよく省略されたりしますが、悩む必要はまったくありません。

・この獅子(しし)の立ちやう、いとめづらし。深き故(ゆゑ)あら
(この獅子の立ち方はとても珍しい。深いわけがあるのだろう。)
ラ変動詞「あり」未然形「あら」に接続し、推量。

・憶良(おくら)らは今はまからむ 子泣くらむ
(わたくし、憶良はもう退出いたしましょう。
今ごろ家では子供が泣いているだろう。)
四段動詞「泣く」終止形に接続し、現在推量。ちなみに、「まからむ」は四段動詞「まかる」未然形「まから」に意志の「む」が接続したもの。接続をよく見ましょう。「まか」という終止形はありえません。よって助動詞「らむ」ではない。

・前(さき)の世にも御ちぎりや深かりけむ
(前世でもご因縁が深かったのだろうか、)
※形容詞「深し」補助活用連用形「深かり」に接続し、過去推量。
※この例文の「けむ」はよく「過去の原因推量」としてあげられていますが、私は特にそのような解釈はしません。「けむ」のいろいろな推量の一つに原因の推量があるに過ぎないと考えています。何を言いたいかというと、原因推量の「らむ」と並列しておさえないでほしいということです。原因推量の「らむ」は次回解説しますが、助動詞の中では別格に難解なのです。

 

 


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