古文の文法・単語・敬語・読解 要点の参考書&問題集

古文のツボ

古文 文法26 和歌に関する重要表現(「なくに」など)

文法事項はひととおり見てきました。「重箱のスミは後回し、出る事項を徹底的にやる!!」という編集方針ですすめてきました。最後に、国立二次、早稲田、上智など、難関大学を目指す受験生のために、和歌に関する重要事項をまとめておきましょう。
これまでの文法事項がひととおり理解できた受験生は、和歌の演習に入って下さい。和歌の修辞の理解は、最初は和歌単独でやってもいいのですが、難関大を受験する受験生は、多様な文脈の中で和歌を読みこなしていく必要があります。平安の物語、日記、中世の歌論など、ガンガン演習量をかせいでください。ココから「量」の勝負に入っていきます。
和歌の修辞は、近世江戸期の散文、和歌はもちろん、「地の文」でさかんに使われていきます。実は、「和歌の修辞」は近世散文でこそ問題になる。江戸の教養人たちが「古典の知識」を披露したかったんですかね。江戸期に入ると、古文は、我々と同じで「教養」の世界になっていきます。
さて、和歌で問題になる文法事項をまとめていきます。すでにやっていますので、これらを確認し、その上で,上級編「和歌の修辞」に入ってください。

★★★★【「~を~み」構文の訳出】

【「~を~み」構文】→→→文法2形容詞の語幹構文

・風いた岩うつ波のおのれのみくだけて物を思ふころかな
(風激しいので岩打つ波のように、私だけが心を砕いて物思いをしているこの頃だなあ)
※「いた」はク活用形容詞「甚(いた)し」語幹「いた」。

「~を~み」構文
・名詞「を」形容詞の語幹「み」
    =原因理由の構文。「名詞 が 形容詞 なので」

ク活用形容詞の語幹に注意してください。(シク活用は語幹と終止形が同じなので一目でわかります。)とくに例文のように仮名で書かれるとわからなくなります。「いたみ?」って「痛み!」なんてことになります。
だから、和歌の傍線部訳が問われ、訳せない「~み」が出てきたら、とりあえず「し」をくっつけてク活用形容詞ではないか、探りを入れてみてください。
「いたみ?」→「いたし?」→「甚(いた)し!」=はなはだしい、はげしい
と類推能力を働かせ、自力で形容詞をほじくり出してください。早稲田、上智など難関大のツッコミどころです。

★★【和歌の「こそ~已然形、~」強調逆接構文の訳出】

【「強調逆接構文】→→→文法4係り結び

・春の夜のやみはあやなし 梅の花色こそ見え香やはかくるる
(春の夜の闇は道理をわきまえない。
梅の花は、色は見えないものの香りは隠れようか、いや隠れない)

和歌は句読点を打ちません。だから、

和歌の「こそ~已然形」の解釈
   ・こそ~已然形。/(句切れ)~…たんなる強調
   ・こそ~已然形、~…下に続いて逆接(~が、~ものの、)

どちらなのか、文脈から自分で判断しなくてはなりません。係助詞「こそ」を受けて「ず」の已然形「ね」です。和歌全体の意味を考えてみます。
色は見えない(感知できない)←→香りは隠れない(感知できる)
と、前後があいいれない、矛盾する関係性になっていますね。よって、この場合は、「~ね。」句切れ、としないで、「こそ~已然形、~」と下文に続けて強調逆接で解釈します。

★★【和歌の「らむ」の訳出】

【「らむ」の現在推量/原因推量】→→→文法15「らむ」

和歌の原因推量「らむ」において、原因を問う疑問語「など・なに」等が省略されてしまう場合があるので注意が必要です。事実が目の前にあるのかないのかで判断すること。

和歌の「らむ」
  1.事実が目の前にない→現在推量
  2.事実が目の前にある→原因推量
   (原因の表現を確認する。原因の表現がなかったら
    原因を問う疑問語の省略と考える。)

例1.憶良らは今はまからむ 子泣くらむ
それその母も吾を待つらむ
(私はもうおいとまいたしましょう。今ごろ家では子供が泣いているだろう。その母親も今ごろ私を待っているだろうよ。)

山上憶良(やまのうえのおくら)は今、宴会の席で家を思って詠んでいる、といった状況です。母子は家で待っているのだからその事実は眼前にない、よって現在推量です。ちなみに「まからむ」は「まから(未然形)」+「む(意志)」。

例2.春霞なに隠すらむ 桜花散る間をだにも見るべきものを
(春霞はどうして隠しているのだろう
せめて桜が散る間だけでも見たいのになあ。)

春がすみが桜の花を隠しているのは目の前の事実でしょう。眼前にないどこか遠くの場所(現在推量)「今ごろ隠しているだろう」とは考えられません。眼前の事実である以上、原因推量です。
「なに」…〈原因を問う疑問〉
「春霞~隠す」…〈眼前の事実〉
 →「らむ」=原因推量

例2.春の色のいたりいたらぬ里はあらじ 咲ける咲かざる花の見ゆらむ
(春の風情がたどりつく里、つかない里の区別はあるまい。
それなのにどうして咲いている花、咲いていない花が見えているのだろう。)

「見ゆ」といっているのだから事実は目の前にあります。眼前の事実である以上、やはり原因推量です。原因推量「らむ」は必ず原因の表現とともに使われるのでしたね。ところが原因を表す表現がどこにもありません。そこで、原因を問う疑問語「など・なに」等の省略と考え、自分で補い、「など咲ける咲かざる花の見ゆらむ」として原因推量で解釈しなくてないけません。
「など」…〈原因を問う疑問語〉
「咲ける咲かざる花の見ゆ」…〈眼前の事実〉
 →「らむ」=原因推量
センター古文で実際に出題された例は見てきましたね。「らむ」は和歌で多用されるので、ほんとうに注意が必要です。「和歌」の「らむ」は本当に要注意!「わからん」と覚えましょう。

★【「なくに」の訳出】

和歌の「~なくに」
・文末で用いて…詠嘆(~ないことだなあ)
・文中で用いて…逆接(~ないのに)・順接(~ないのだから)

例:深山には松の雪だに消えなくに都は野辺の若菜摘みけり
(山奥ではまだ松の雪さえ消えていないのに
都ではもう野辺の若菜を摘んでいることだなあ)

・「な(打消「ず」の上代未然形)」
+「く(準体助詞)」
+「に(格助詞)」

など、品詞分解はいろいろ説明がされていますが、分解はどうでもいいと思います。

・なくに=ないのに

訳せるようにしておきましょう。たまに聞かれます。

以上、和歌をめぐる修辞、解釈は難解です。情報量が「五七五七七」の三十一文字(みそひともじ)しかないのだからあたりまえですね。だから、結局は文脈から類推する能力が求められます。いいかえれば、和歌の解釈によって、本文の要約が求められるということです。国立二次、早稲田、上智、センター古文。難解だからこそ、難関大学で出す!あたりまえですよね。理屈より場数、受験生、最後の最後には「演習量」の勝負になるというのは、和歌の解釈が典型なのです。

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