三大識別「なり」「なむ」「に」、最終仕上げ「に」の識別に入ります。「に」の識別は、配点は低いですが、文法問題でやたらに出ます。「またかよ…」みたいな感じになるといいですね。センター古文問2とかです。いくら配点が低くても、「トリ問題」を時間かけずに点にする重要性は述べてきました。「トリ」をとれる人は、「ステ」を捨てられる人、結果、最高のパフォーマンスをたたき出していく人になります。出るとわかっているのですが、ココで受験生が悩ましいのは、格助詞「に」「にて」なはずです。解説していきましょう。
★★★★★【「に」の識別】
1.格助詞「に」「にて」…体言・連体形(連体形の場合、下に体言が補える)に接続。
基本的に体言に付き、下の動詞にかかっていきます。「学校に行く」の「に」。「学校(体言)」に接続し、「行く(動詞)」にかかっています。「体育館にて全校集会を行う」の「にて」。「体育館(体言)」に接続し、「行う(動詞)」にかかっています。格助詞「に」は格(連用修飾格)を作って必ず動詞にかかっていきます。だから、日常のコミュニケーションにおいても、格助詞「に」「にて」で文を切ると、必ず動詞を聞き返すはずです。
「今日、山田君に…」「どうしたの?」
「全校生徒のみなさん、間もなく体育館にて…ガガガピー」「何やんの?」
でしょ?
2.接続助詞「に」…連体形に接続(下に体言が補えない)。
・順接(~すると・~ので)
・逆接(~のに・~けれども)
どちらも表現します。「主語~述語」は接続助詞「に」の上で完結するため、下にかかっていく動詞がありません。「我学校に行くに、彼行かず」の「に」。「行く(連体形)」に接続し、かかっていく動詞がありません。なぜなら、接続助詞は、もともと二つの文をくっつけているので、
「我学校に行く。/but/彼行かず。」
と、前後とも文は完結しているからです。上記、格助詞「に」「にて」と比較してください。以下の説明はアテにしないように。正直なところ、私たちが読む古文って、接続助詞に「、」読点が打ってありますよね。例外はいくらでもありますよ。
3.完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」
…活用語の連用形に接続し、
「にき・にけり・にけむ」と他の助動詞と複合する。
4.断定の助動詞「なり」の連用形「に」…体言・連体形に接続。
①「~にあり」で「である」と訳せる。
「あり」は断定の表現を補助する補助動詞と考える。「に」と「あり」の間には係助詞や接続助詞が入る場合が多い。断定「なり」連用形「に」、および「にあり」「に侍り・に候ふ」「におはす・おはします」の断定以外の表現については断定「なり」の項を確認してください。
【断定「なり」連用形「に」】→→→文法17断定の助動詞「なり」
②「~にて」で「~である。そして、」「~であって、」と訳せる。
格助詞「にて」との識別が問われます。下記で詳述。
5.ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」の連用形「死に」「往に」の活用語尾
6.ナリ活用形容動詞の連用形の活用語尾
…「なり」で言いきって様子・状態を表現する。
7.副詞の一部
…副詞は活用せず、用言を修飾する。
例1.2.6.ねむごろに言ひける人に「こよひ逢はむ」とちぎりたりけるに、~。
(親切に言い寄った男に「今夜逢おう」と約束すると、)
形容動詞「ねむごろなり」の連用形「ねむごろに」。「~なり」と言いきって「親切だ、丁寧だ」と様子・状態を表現します。
「人に」の「に」は格助詞。「人(体言)」に接続し、動詞「ちぎる」にかかっています。
「けるに」の「に」は接続助詞。助動詞「けり」連体形「ける」に接続し、間に体言が補えないし、下にかかっていく動詞がありません(省略しているけど…)。
例3.心は君によりにしものを
(心は君に寄りそっていたのになあ)
「寄る」の連用形「より」に接続し、「にき」の形をとっています。完了「ぬ」の連用形と一発でわかります。当然、過去の助動詞「き」も活用語なので活用します。「し」は「き」の連体形。
例4.わが身一つの秋にはあらねど
(私だけに訪れた秋ではないけれど)
「秋(体言)」に接続し、「に(は)あり」で「~である」と訳せますね。よって「に」は断定「なり」連用形。「あり」は補助動詞。間に「は(係助詞)」が入った形です。「私だけの秋である」と断定している(打消していますが)のであって、「秋」に何かが存在しているわけではないでしょ?
例えば「ペンいづくにかある?」「ペン机の上にぞある」と言ったら、ペンがどこに存在するかをいっています。存在を表したら「に」は格助詞(ここでは場所を表す)、「あり」は普通の動詞、動詞は「存在・動作」の表現でしたね。
例4.(私が書いた『徒然草』なんて)あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなり。
(『徒然草』は、つまらないなぐさみごとであって、すぐに破り捨てるべきものだ。)
「すさび(体言)」に接続し、「~である。そして」または「~であって」と訳せます。よって「に」は断定「なり」連用形。「て」は接続助詞。
・こんな『徒然草』なんかつまらないなぐさみごとである。
/and/
・こんな『徒然草』なんかすぐに破り捨てるべきものである。
「~なり(断定)。/て(=and)/~なり(断定)。」
と、前後で「主語~述語」が完結していますね。これが格助詞「にて」と決定的に異なります。下記の格助詞「にて」と比べてみるとわかりますが、格助詞「にて」は「格」(連用修飾格)を作って必ず下の動詞にかかっていきます。動詞に対する「格」を表すのが「格助詞」ですからね。
例1.5.狩に往にけり。
(狩に行った。)
「狩に」の「に」は格助詞。「狩(体言)」に接続し、動詞「往ぬ」にかかっています。
「往に」の「に」はナ変動詞「いぬ」の連用形活用語尾。ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」と漢字で書くとバレバレですが、仮名書きで「しに」「いに」と書かれると、とたんに難しくなります。「ゐにけり」だったら、ワ行上一段「居(率)る」連用形「ゐ」、「に(完了)」「けり(過去)」ということになりますが…。
例7.つひに行く道とはかねてききしかど、
(最後に通って行く死出の道とは以前から聞いていたけれど、)
「つひに」は活用がなく、動詞(用言)「行く」を修飾しています。よって副詞です。副詞は「すでに」などもそうですが、「つひなれば」「すでならず」という表現がないでしょ?つまり活用がない、よって形容動詞ではない。
〈格助詞「にて」の確認〉
「にて」で一語の格助詞の場合は、体言・連体形(連体形の場合は下に体言が補える)に接続し、「格」(連用修飾格)を作って、必ず下の動詞にかかっていきます。上記1.の格助詞「に」と全く同じです。全然重要ではありませんが、受験生が必ずひっかかるところです。格助詞「にて」の「に」だけに傍線を引くと、受験生はみんな「断定」とひっかかります。ひっかけの王様です。ひっかからないためにだけ、意味をひととおりたどっておきましょう。覚える必要はありません。たどるだけでいいです。
1.場所…~において・~で
2.時間・年齢…~で
3.状態・資格…~として・~で
4.方法・手段…~で
5.原因・理由…~のために・~によって
6.材料…~で
例1.ねがはくは花の下にて春死なむ
(願うことなら桜の花の下で春に死のう)
「下(体言)」+「にて(場所)」→死ぬ(動詞)
例2.十二にて御元服し給ふ
(光源氏は十二歳で元服なさる)
十二(体言)+「にて(年齢)」→元服す(動詞)
例3.ただ人(うど)にておほやけの御後ろ見をす
(臣下として朝廷の補佐をする)
ただ人(体言)+「にて(資格)」→後ろ見す(動詞)
例4.深き川を舟にて渡る
(深い川を舟で渡る)
「舟(体言)」+「にて(手段)」→渡る(動詞)
例5.我朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ
(私が朝夕仕事で目にする竹の中にいらっしゃることによって存在がわかった)
おはする(「おはす」連体形)+コト(形式名詞)
+「にて(原因)」→知る(動詞)
例6.女のはける沓(クツ)にて作れる笛
(女がはいている木の靴で作った笛)
「沓(体言)」+「にて(材料)」→作る(動詞)
以上、受験生が迷うところなので、最後にもう一度まとめておきましょう。
〈断定「なり」連用形「に」/格助詞「に」「にて」〉
・体言にあり…「である」と訳せる
→断定「なり」連用形「に」+補助動詞「あり」
・体言にあり…「~にある」「~にいる」と存在を表している
→格助詞「に」+動詞
「あり」が丁寧「はべり」「さぶらふ」、尊敬「おはす」「おはします」になっても判断基準は同じです。「断定」なのか「存在」なのか、必ず訳して確認してください。ちなみに「はべり」「さぶらふ」については謙譲「お仕えする」もあります。
・体言にて…「~である。そして」「~であって」と訳せる
→断定「なり」連用形「に」+接続助詞「て」
・体言に・にて…下の動詞にかかっていく
→格助詞「に」「にて」
「にて」の前の体言がかかっていく動詞があるのか、ないのか。格助詞「に」「にて」か、断定「なり」連用形「に」か、これで迷った時には、常にこの判断基準にしたがってください。
以上、細かかったですか?「出る事項は徹底的に!!」というサイトの編集方針に従っています。早稲田、上智などの難関大を目指す受験生は、このレベルまでおさえてください。これらの大学でバレバレの「に」の識別を出すわけがないですからね。
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