「つ」「ぬ」はとくに難しくありません。考査で厳密に意味を訳し分けるように求められるかもしれませんが、それは助動詞をきちんと習得させるための親心というものです。実戦文法としては、完了か強意かで悩む必要はありません。どちらでも文脈が変わらないでしょ?
【助動詞「つ」「ぬ」の意味】
・完了…~した。~してしまった。
・強意…きっと~。
あえて違いをいえば、「つ」は意志的な動作に用いられ、「ぬ」は自発的、自然発生的な動作に用いられます。「風吹きぬ」とは言うが、「風吹きつ」とは言わない、ということです。
完了か、強意か、識別する厳密な定義はありませんが、ざっくり、「推量の助動詞とセットになったら強意」でいいと思います。「命令形は強意だって、学校で習いました!」とか受験生につっこまれると、本当に困ってしまいます。教わったとおりでよいと思います。
「つ」の未然形・連用形「て」、それと「ぬ」の連用形「に」は接続パターンが決まっていますから覚えてしまいましょうか。文法問題の「チョイ役」でよく問われます。
〈「つ」の未然形・連用形「て」の接続パターン〉
・てむ…「つ」未然形+推量の助動詞「む」
・てけむ…「つ」連用形+過去推量の助動詞「けむ」
・てき…「つ」連用形+過去の助動詞「き」
・てけり…「つ」連用形+過去の助動詞「けり」
・てば…「つ」未然形+接続助詞「ば」…仮定条件句を作る。
・てまし…「つ」未然形+推量の助動詞「まし」
「てむ・てけむ・てき・てけり・てば・てまし」なんて覚えてしまいましょう。なんかお祭のタイコみたいで覚えやすいでしょ?接続パターンはこれだけです。
〈「ぬ」の連用形「に」の接続パターン〉
・にき…「に」+過去の助動詞「き」
・にけり…「に」+過去の助動詞「けり」
・にけむ…「に」+過去推量の助動詞「けむ」
「にき・にけり・にけむ」なんて覚えてしまいましょう。文法問題で超頻出、センター古文の問2の選択肢によく入っていますね。「に」の識別でよく顔を出します。
「に」の識別は本当に難しい。でも難しいのは断定の助動詞「なり」連用形「に」と格助詞「に」「にて」の識別です。完了の「に」は上掲のとおり、難しくない。『文法25「に」の識別』で詳述しましょう。
練習:次の下線部の文法的説明として正しいものをそれぞれ選びなさい。
・秋風の吹きaにし日より音羽山(おとはやま)峰のこずゑも色づきbにけり
イ、断定の助動詞「なり」 ロ、完了の助動詞「ぬ」
ハ、格助詞「に」 ニ、接続助詞「に」
解答:a=ロ b=ロ
口語訳:秋風が吹いた日から音羽山では峰の梢(こずえ)も紅葉したことだなあ。
解説:「にき」「にけり」の「に」は完了、とはいえ、下にくる語が活用語なら活用しますからね。「にし」の「し」は過去の「き」の連体形です。「し+名詞」は過去の「き」連体形でしたね。
練習:次の和歌の口語訳としてふさわしいものを選べ。
・梅が香(か)を袖に移してとどめてば春は過ぐとも形見ならまし
イ、 梅の香りを袖に移してとどめたので、春が過ぎ去っても思い出の種となるだろうに
ロ、 梅の香りを袖に移してとどめたので、春が過ぎ去っても思い出の種となってほしい
ハ、 梅の香りを袖に移してとどめたなら、春が過ぎ去っても思い出の種となってほしい
ニ、 梅の香りを袖に移してとどめたなら、春が過ぎ去っても思い出の種となるだろうに
解答:ニ
解説:「つ」未然形「て」+接続助詞「ば」、「未然形+ば」は仮定条件、仮定条件句をともなった「まし」はすべて反実仮想でしたね。反実仮想は詠嘆的表現だから和歌でよく使われるって言いましたね。
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