終助詞は希望・願望の表現をしっかりおさえましょう。国立二次、記述で口語訳、早稲田、上智なら虫食い問題空欄補充、実際、上智はよく出しています。「学校で希望って習いました」「願望って」とらちがあかないので、説明の便宜上、「ばや・てしがな・にしがな」を希望、「がな・もがな」を願望で説明していきます。大切なのは似ているけど違う、差異化しておさえることです。「学校でこうならいました」ならそれでいいです。訳せればそれでいい。
【「終助詞」とは?】
文のおしまいで使われるので、終助詞。
終助詞は希望、願望の表現をしっかりおさえましょう。詠嘆の表現はべつに訳し落としたからどうということもありませんし、直接問われることもないでしょう。終助詞にかぎらず、希望、願望の表現は、とにかく記述で出る傾向がありますから、高配点の問題になりやすいです。助動詞「まほし」「たし」とともに、ここでしっかりおさえておきましょう。
【助動詞「まほし」「たし」】→→→文法11助動詞「まほし」「たし」
★★★★★【希望・願望の終助詞】
〈希望の終助詞〉
未然形+ばや =希望・~したい
連用形+てしがな=希望・~したい
連用形+にしがな=希望・~したい
自己の希望をあらわすグループです。「ばや・てしがな・にしがな=~したい」とセットにしておさえましょう。虫食い問題になるので、接続もおさえておくこと。
・世の中に物語といふもののあんなるをいかで見ばやと思ひつつ、
(世の中には物語というものがあるそうだが、なんとかして読みたいと思っては、)
上一段動詞「見る」未然形「見」に接続。
副詞「いかで」は意志や希望の表現と呼応し、「なんとかして」と訳す。「文法22呼応の副詞」でまとめます。
・いかでこのかぐや姫を得てしがな、
(なんとかしてこのかぐや姫を手に入れたいものだ、)
下二段動詞「得(う)」連用形「得(え)」に接続。
・いかで心として死にもしにしがな。
(なんとかして思いどおり死にたいものだ。)
サ変動詞「す」連用形「し」に接続。
〈願望の終助詞〉
がな =願望・~であればなあ、~があればなあ、~がほしいなあ
もがな=願望・~であればなあ、~があればなあ、~がほしいなあ
ある事柄の実現を望む表現です。上記の希望と区別して「願望」といわれたりしますが、呼び方はさまざまです。呼び方はどうでもいいので、上記「ばや・てしがな・にしがな」とは別モノとしておさえてください。文脈に応じていろいろ訳します。場合によっては「~したい」と訳す場合もあったりして。場数をふんで、いろいろな文脈で訳していきましょう。接続は、体言、格助詞など、さまざまですので、特におさえる必要はありません。とにかく、しっかり訳出できるようにしましょう。
・いかで大納言をがな
(なんとかして大納言の位がほしいなあ。)
・世の中にさらぬわかれのなくもがな
(世の中に死別というものがないとよいのになあ。)
※「さらぬ別れ」=避けられない別れ=死別
〈あつらえの終助詞〉
未然形+なむ=他に対する希望(あつらえ)・~してほしい
「あつらえ」って、耳慣れない受験生もいるのかな?他者に対する希望が「あつらえ」です。いわゆる三大識別問題、「なむ」の識別に決定的にかかわる終助詞ですので、「未然形接続」をしっかりおさえましょう。
・小倉山みねのもみぢ葉心あらば いまひとたびの行幸(みゆき)待たなむ
(小倉山の峰の紅葉の葉よ、お前にもし心があるなら、
もう一度あるはずの帝のお出ましを散らずに待っていてほしい。)
四段動詞「待つ」未然形「待た」に接続。
・いつしか梅咲かなむ。
(はやく梅が咲いてほしい)
四段動詞「咲く」未然形「咲か」に接続。
副詞「いつしか」は意志や希望の表現と呼応し、「はやく」と訳す。「文法22呼応の副詞」でまとめます。
以上、「ばや・てしがな・にしがな」は機械的に訳をおさえればOK。「がな・もがな」は演習量をこなして場数をふむこと(特にも国立二次で古文がある受験生)。「なむ」は文法24で識別をしっかりやりましょう。
どれもこれも出る!しかも高配点。点差をひろげる大チャンスです。
★★【反語の終助詞】
連体形+ものかは=反語・~だろうか、いや、~ない
いちおう、反語もやっておきましょうか。和歌でもよく使われるし、反語の表現は上智大学をはじめ、口語訳を意訳をしてくるところでは頻出です。
・車の簾(すだれ)はかけられけるものかは。
(牛車のすだれなどかけることができようか、いや、できない)
「られ」は「らる」の連用形。打消・反語の文脈で使われたら可能です。
【助動詞「る」「らる」】→→→文法5助動詞「る」「らる」
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