古文の文法・単語・敬語・読解 要点の参考書&問題集

古文のツボ

古文 文法入門4 動詞 活用の種類

「動詞」の定義は大丈夫ですか?
「動詞」=動作、存在を表し、ウ段で(ラ変のみイ段)で言い切る。英語で言えば「do」「be」ですね。
ウ段で言い切るのは、現代語も同じです。何か動詞をあげてみてください。
「笑う」「怒る」「泣く」「走る」「歩く」「こける」
必ずウ段になっているのがわかりますか?現代語では「ある」なので、存在もウ段なのですが、古文で存在を表すのは、
「あり」(ある)
「をり」(いる)
「はべり」(あります)
「いまそ(す)か(が)り」(いらっしゃる)
のラ変動詞4語。イ段で言い切りになっていますね。
※存在を表すのは他に「候ふ」(あります)四段活用、「おはす」(いらっしゃる)サ変、などもあります。

ちなみに、助動詞の接続に行って受験生が必ずと言っていいほどつまずくのが、終止形接続です。
お手持ちの古典文法書の表紙裏に助動詞の一覧表がのっていますね。終止形接続のところをよく見てください。

・「べし」「らむ」「らし」「めり」「まじ」「なり(伝聞推定)」
…終止形に接続する。
(ラ変動詞・ラ変型活用語には連体形に接続する。)

と書いてあります。
「???」
その「答え」が、この動詞の定義にあるのがわかるでしょうか?
「助動詞」は、「動(詞)を助けることば」と読む、原則、動詞に接続します。動詞は原則「ウ段」で言い切る。よって終止形接続の助動詞は、
「笑ふべし」「泣くらむ」「走るめり」
と動詞の終止形、すなわち「ウ段」に必ず接続します。ラ変の終止形に接続させると、
「ありべし」「をりらむ」「はべりめり」
なんか、おかしいのが感覚的にわかりますか?その違和感は当時の人も同じで、なんかおかしい…。
そこで、普段は「ウ段」に接続して用いられているのだから、ラ変動詞にも「ウ段」で接続させます。
「あるべし」「をるらむ」「はべるめり」
違和感が解消されました。「ある」「をる」「はべる」って、ラ変の連体形(ら・り・り・・れ・れ)でしょ?
さらに、ちなみに、「ラ変型活用語」というのがミソです。ラ変動詞は、原則、上記の4語ですが、「ラ変型活用語」は無数にあります。形容詞、形容動詞の活用の左側をよく見ると、ラ変のパターンで活用しています。
古典文法の最終仕上げ、【推定の助動詞「なり」「めり」にともなう撥音便の無表記】に行って受験生がみんな「わからん」「わからん」て言い出します。
「なるなり」→「なんなり」→「ななり」などの表現。
わからんのは、結局、動詞の活用、助動詞の接続をおろそかにしているからなのです。
ということで、用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用に入っていきます。ココをしっかりやれば、助動詞の活用なんかものの3分で終了!です。助動詞のほとんどが用言の活用のパターンで活用していますからね。

【動詞の活用の種類】

…50音図のタテの音の並び。
a段・i段・u段・e段・o段
の五段が「○段○行活用」の「段」です。
i段といったら「いきしちに…」
o段といったら「おこそとの…」

…50音図のヨコの並び。
ア行・カ行・サ行・タ行・ナ行…
と続きます。
ア行といったら「あいうえお」。
ナ行といったら「なにぬねの」。
古文に独特な「行」に注意しましょう。
ア行…あいうえお(a・i・u・e・o)
ヤ行…やいゆえよ(ya・yi・yu・ye・yo)
ワ行…わゐうゑを(wa・wi・wu・we・wo)
悩むところではないのですが、「yi」「ye」などは字として存在しないので、(仮)で「い」「え」と代入しているだけです。
さしずめ、任天堂の「wii」を歴史的仮名遣いで記せば「ゐー」になりますね。

動詞の活用は、「正格活用」と「変格活用」に二分されます。
「正格活用」…決まったパターンで活用する。
「変格活用」…変則的なパターンで活用する。
別にどうでもよいことですが、「なぜ、変格活用って言うんですか?」と聞いてくる生徒もいるから説明しています。
四段活用…a・i・u・u・e・e
a段i段u段e段の四つの段を使って四段活用です。
恥づ…恥ぢ・恥ぢ・恥づ・恥づる・恥づれ・恥ぢよ
ダ行…だぢづでど
のi段u段の二つの段を使って活用するので二段活用、
他にu段e段の二つの段を使って活用する二段活用もある、前者が上段にあるので上二段活用、後者が下段にあるので下二段活用と区別しました。(上下一段活用も同じ判断基準です。)
よって「恥づ」はダ行の上の二段を使って活用しているので「ダ行上二段活用」です。
学校の考査で「活用の種類を書きなさい」で「上二段活用」だけ書いてくる生徒がいます。グラフのタテ軸、ヨコ軸の関係で「活用の種類」を表すのですから、「○行」を忘れないようにね。

「ちょっとまったー!」「俺らも四段活用でぃ!」
「死ぬ」…死な・死に・死ぬ・死ぬる・死ぬれ・死ね
「あり」…あら・あり・あり・ある・あれ・あれ
四段活用と似ている、似ているけれどちょっと違う。そこで動詞の活用の大半を占めるマジョリティー四段活用が正格活用、「死ぬ「往ぬ」の二語しかないだろう、「あり」他、四語しかないだろう、ということでマイノリティーは変格活用に置かれました。「死ぬ」がナ行変格活用、「あり」がラ行変格活用です。
「蹴る」…け・け・ける・ける・けれ・けよ
下一段活用はカ行下一段活用「蹴る」一語、十分マイナーなのですが、競合する活用相手がないので、「しょうがねーな」かなんかいって正格活用に入れてもらいました。これを変格にすると、上一段活用はどうなのよ、ってハナシになるじゃないですか?
ちなみに、「恥づ」「死ぬ」の「恥」「死」のように、活用しても形が変わらない部分を「語幹(木の幹のようにどっしり不動)」といい、「ぢ・ぢ・づ・づる・づれ・ぢよ」「な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね」と活用に伴って形が変わる部分を「活用語尾(尻尾のようにぷるぷる動く)」といいます。
動詞の活用をおさえるポイントは、動詞の数が決まっているものについては、その動詞を覚えてしまうことです。必ず「漢字」をあてて覚えるのがミソです。「音」で覚えないこと。
詳細はお手持ちの古典文法書にまかせます。ざっくり見ていきますよ。

〈四段活用〉

a・i・u・u・e・e
a段・i段・u段・e段の四つの段を使って四段活用、動詞の活用の大半を占めます。
※漢文で「食フ」は、「食(く)フ」ではなく、ハ行四段活用「食(くら)フ(クロー)」。

〈下二段活用〉

e・e・u・uる・uれ・eよ
u段・e段の二段を使って二段活用、他にi段・u段の二段活用があるので、それと区別するため、上段を上二段活用、下段を下二段活用とした。動詞多数。
※「立つ」「かづく」「給ふ」など、四段活用、下二段活用の2パターンの活用を持つものは要注意!超頻出事項。中級編で解説します。
※「行」で注意すべきはワ行下二段活用「植う」「飢う」「据(す)う(=置く)」の三語。
活用:ゑ・ゑ・う・うる・うれ・ゑよ…「ゑ」をきちんと書けるように!
※「かな」で書かれた時に、「行」と「意味」に要注意!中級編で解説します。
「絶ゆ」ヤ行下二段活用…とだえる、死ぬ。
活用:え・え・ゆ・ゆる・ゆれ・えよ
「耐・堪(た)ふ」ハ行下二段活用…こらえる、能力がある。
活用:へ・へ・ふ・ふる・ふれ・へよ

〈上二段活用〉

i・i・u・uる・uれ・iよ
i段・u段の二段を使って二段活用、上段にあるので上二段活用。動詞多数。
※「行」で注意すべきはヤ行上二段活用「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」の三語。
活用:い・い・ゆ・ゆる・ゆれ・いよ
※「恨(うら)む」は四段活用ではなく、マ行上二段活用です。「恨みず」「恨むる人」のように使われます。
活用:み・み・む・むる・むれ・みよ

〈上一段活用〉

i・i・iる・iる・iれ・iよ
i段一段のみで活用するので一段活用、他にe段一段を使った一段活用もあるので、それと区別するため、上段を上一段活用、下段を下一段活用とした。動詞の数は限られているので覚えてしまう。
「着る」「見る」「似る」「煮る」「射(い)る」「鋳(い)る」「居(ゐ)る」「率(ゐ)る」「干(ひ)る」←覚える!
ゴロで覚える…「きみにいゐひ」る、「ひいきにみゐ」る。※漢字で覚えること。
※「行」で注意すべきは、
ヤ行上一段活用…「射(い)る」「鋳(い)る(…金属をとかして鋳型(いがた)に流して器物をつくる)例:南部鉄器」
活用:い・い・いる・いる・いれ・いよ
ワ行上一段活用…「居(ゐ)る(…座る、存在する)」「率(ゐ)る(…連れる、ともなう)」
活用:ゐ・ゐ・ゐる・ゐる・ゐれ・ゐよ…「ゐ」をちゃんと書けるように!
※「き・き・きる…」「み・み・みる…」と、語幹と活用語尾の区別はありません(できません)。
※「射る・鋳る」がなぜに「ヤ行」なのか?受験生なら一度は疑問に思ったことでしょう。
「もともと中国から漢字を輸入した際に、もともとの中国語の発音が「yi」だったのだろう、あてる字がないから「い」と書いているだけで、元の発音がヤ行だったので、ヤ行上一段活用と位置付けられているのである。」
と、もっともらしい説明をしてきたのですが、どうもそんな説明をしているのは私だけのようです。学説として魅力的だと思うのですが、どうもそんなことではないらしい。いろいろ調べても確かな説はないようです。「こうだから、覚えろ!」というのは受験生が一番嫌う説明だというのは分かっているのですが、私もゴニョゴニョとしか言えません。すみません。

〈下一段活用〉

e・e・eる・eる・eれ・eよ
というか、
活用:け・け・ける・ける・けれ・けよ
e段一段のみで活用するので一段活用、一段活用は二つあり、下段にある一段活用なので、下一段活用。
「蹴る」カ行下一段活用、一語のみ。←覚える!

例:サッカーボールを「蹴(け)ず。」「蹴(け)たり。」のように用いられます。

〈カ行変格活用〉

活用:こ・き・く・くる・くれ・こ(こよ) …命令形が二つある。
「来(く)」一語のみ。←覚える!
※「詣(まう)で来(く)(…参上する)」「出(い)で来(く)(…おこる・おきる)」など複合語多数。
※漢文で「来」はカ行変格活用「来(く)」ではなくラ行四段活用「来(きた)ル」。よって漢文にカ変は存在しない。

〈サ行変格活用〉

活用:せ・し・す・する・すれ・せよ
「す」「おはす」の二語のみ。←覚える!
※「ものす」「御覧ず」など複合語多数。
「物」+「す」=「ものす(…ある、いる、する)」
「御覧」+「す」=「ご覧ず(…「見る」の尊敬、ご覧になる)」
※漢文では、訓読みがない場合、何でもかんでもサ変化する傾向がある。ために、例えば使役構文。白文を読んでみてください。
例:兄使弟行。
↓書き下し文
「兄、弟をして行かせしむ。」
と読んだ受験生いませんか?
漢文は何でもかんでもサ変で読む傾向があるので、ついつい使役構文を「~をして~せしむ」と覚えている受験生が本当に多いです。その「せ」がサ変の未然形です。訓読みがある場合は訓に従うわけだから、「行かしむ」が正解です。わかっちゃいるけど、やらかしますよね。

〈ナ行変格活用〉

活用:な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね
「死ぬ」「往・去(い)ぬ」の二語のみ。←覚える!
※漢文で「死」はナ行変格活用「死ヌ」ではなくサ行変格活用「死ス」。

〈ラ行変格活用〉

活用:ら・り・り・る・れ・れ
「あり」「をり」「はべり」「いまそ(す)か(が)り」の四語のみ。←覚える!
※「はべり(「あり」の丁寧、ございます)」
※「いまそかり(「あり」の尊敬、いらっしゃる)」「いますがり、いますかり、いまそがり」とも言う。
※四段活用とほぼ同じなのですが、終止形が決定的に違う。終止形接続の助動詞が「ラ変型には連体形」に接続する理由は上述のとおり。
※「然(さ)+あり→さり(そうである)」「斯(か)く+あり→かかり(こうである)」など、複合して縮まって一語になっているもの、多数あり。形容詞の補助活用(カリ活用)、「いみじく+あり→いみじかり」、形容動詞の活用「あはれに+あり→あはれなり」もそのバリエーションです。だから、ラ変型活用語は無数にあります。

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